中国国内線のモバイルバッテリー規制(2025年6月施行)完全ガイド

既に出張や旅行の必需品となりつつあるモバイルバッテリー。特にPCや携帯などが必須の出張族やノマドワーカーには、モバイルバッテリーは“命綱”のような存在ですね。
ところが2025年6月28日から、中国国内線を利用する際にCCC(中国強制認証)マークのないパワーバンク(携帯用充電器、モバイルバッテリー)は一切持ち込み禁止となりました。

この記事では、規制の背景や実際の影響、国内線と国際線の違い、主要航空会社の対応、安全対策、さらには鉄道・地下鉄での取り扱いまで、実務に役立つ情報を網羅的に解説します。


1. 機内持ち込みには「CCC認証」が必須の中国国内線機内持ち込み新ルール

このルール、施行も突然だったので、空港でいきなり「没収です」と告げられ、充電切れのまま北京や上海へ飛ぶことになった――そんなケースが実際に相次いでいます。これまで当たり前に持ち歩いていたアイテムが、いきなり危険物扱いに。まさに“ビジネス旅を直撃する新ルール”です。

  • 施行日:2025年6月28日
  • 国内線機内持ち込み禁止対象のパワーバンク(モバイルバッテリー):
    • CCCマークのないパワーバンク
    • マークが擦れて読めない製品
    • 当局リコール対象の機種・ロット
      ※ANKERやシャオミ(小米)などの有名ブランドも含め、CCC認証が取消になっているケースも多発しています。可能であれば国内線にはパワーバンクを持ち込まないのが一番の自衛策かもしれません。
      認証の有効性は中国国家市場監督管理総局「全国認証認可情報公共サービスプラットフォーム」で確認が出来ます。またリコール情報は、「国家市場監督管理総局欠陥製品回収技術センター」の「消费品召回(リコール)」項目で確認出来ます。
  • 容量制限(IATA準拠/手荷物のみ持ち込み可):
    • 100 Wh 以下:台数制限なし
    • 100~160 Wh:2台まで(航空会社承認要)
    • 160 Wh 超:全面禁止
  • 要注意! 必ず手荷物へ。預け荷物に入れるのは国内線、国際線とも禁止!日本国内でも同じです。

なおこのルールは2025年8月16日時点で中国国内線のみを対象としたルールです。中国発着の国際線へのパワーバンク持ち込みが出来ることは中華系・日系の両方で自分が何度か持ち込んで確認済みです。

なお、中国国内や中華系航空会社では、機内でのモバイルバッテリーの利用が禁止されている場合がほとんどですのでこの点もご注意ください。

そもそも3C認証とは?

正式名称中国強制製品認証(China Compulsory Certification, CCC)

消費者の安全・健康・環境保護を確保するために、中国国内で販売・輸入される製品に義務付けられた国家制度です。日本で言うPSEマーク、ヨーロッパのCEマークにあたる安全認証です。

電気製品、車両部品、IT機器、家庭用電化製品など 100種類以上の認証があります。製品認証にはの品質試験、工場の生産管理審査(ISO9001に近い)、定期的な抜き打ちチェックなどもあります。


2. なぜ今?――規制強化の背景

  1. 規制の流れ
    • 2023年8月:国内販売品にCCC認証を義務化
    • 2024年8月:未認証品の製造・流通を全面禁止
  2. 航空安全インシデント
    • 2025年1月:Air Busan機内で発火事故
    • 2025年3月:香港航空機が煙感知で緊急着陸
  3. 緊急通知
    • 6月26日:CAAC(中国民航局)が通達発出
    • 6月28日:わずか2日後に全面適用

欧米ではIATA基準で運用されるケースが多いのに対し、中国は「市場規制」と「航空安全」を一体化して今回一気に厳格化。急速に導入されました。


3. 大規模没収・ビジネス旅への影響

  • ビジネスクラスや上級会員でも例外なし。VIP専用レーンでも容赦なくチェックされます。
  • 空港によっては即日廃棄されるケースもあり、返還や郵送サービスは期待できません。

4. 国内線と国際線の境界線

  • 国内線:CAAC規制が全面適用。
  • 国際線:CAAC規制の対象外。ただし多くのキャリアはIATA基準を採用。
    • 100 Wh以下:手荷物のみ
    • 100~160 Wh:承認後2台まで
    • 160 Wh超:禁止

注意点

  • 日本や香港から上海などの中国国内経由で「国内線」へ乗り継ぐ場合、国際線区間では通過できても、国内線搭乗時に没収されると考えられます。

5.2 まとめ

ちなみに中国の飛行機では、モバイルバッテリーの持ち込み以外にも、離着陸時のUSBポートの利用やイヤホンの使用も認められない(片耳だけはOKな場合もあり)ことが多いです。

現在の規制は一般的に下記の様になっています

  • 携帯やタブレット、PCなどの電池を含む機材の持ち込み:本体15台
  • 100Wh以下の予備電池など:20台まで
  • 100–160Whのバッテリー:2台まで(要承認)
  • 160Wh以上:持ち込み禁止

その他の規制内容

中華系航空会社日系航空会社
パワーバンクの機内での利用利用禁止目に見えるところで仕様。
保管も目に見える範囲で。
座席のUSBポートの利用巡航時のみ制限なし
イヤホンの使用巡航時のみ
(片耳だけなら離着陸時の仕様がOKな会社も)
制限なし

各航空会社のモバイルバッテリー
持ち込みに関する情報

China Eastern(中国東方航空)

日本語
英語

Air China(中国国際航空)

日本語
英語

Chine Southern Airlines(中国南方航空)

日本語
英語

Xiamen Air

英語

Japan Airlines (日本航空)

日本語

All Nippon Airways (全日空)

日本語


6. 電力量換算:mAh→Whの基本

IATA規定は「Wh(ワット時)」で管理されるため、製品にWh表記がない場合は以下で計算します:

Wh = (mAh ÷ 1,000) × 公称電圧[V]
  • 公称電圧は一般に 3.7 V
  • :20,000 mAh → 20 Ah × 3.7 V = 74 Wh → 100 Wh以下
  • 27,000 mAhは約100 Wh、43,200 mAhは約160 Whに相当

7. 鉄道・地下鉄での持ち込みルール

  • 中国国鉄(高速鉄道・在来線):100 Wh以下ならCCC不要で持ち込み可。
  • 都市地下鉄:鉄道基準を踏襲。100 Wh以下なら原則問題なし。ただし駅保安で容量確認を求められる場合あり。

これらの情報は8月16日時点で最新の情報をまとめましたが、規制や持ち込み可否は随時変更になる可能性があります。

出発前にご利用の航空会社のウェブサイトで最新情報を確認してみてください。

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